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ガキが嫌い [フィリピン]

貧困地域にいる小汚いガキが大嫌い。金をせびり、執拗に追いかけて来て、ウンチをした後で手を洗わないどころか、生まれてこのかた洗ったことの無いような小汚い手で体に触られようものなら虫唾が走る。ただでさえ不愉快なのに金や持ち物を盗もうとしたり、軽く恫喝してくることすらある。どう見ても日本で言えば未就学年齢である。誤解の無いように言っておくが、私は子供が好きだ。そんな私が、先日、フィリピンのクラークで小汚いガキどもの襲撃を受けた。私も迂闊だった。いつもは、治安の良くない場所を歩く時は前後左右を意識するのだが、この時は友達が「街の写真を送ってくれ」と言うので、左手にミネラルウォーターのペットボトルが入ったビニール袋を持ち、右手でスマホの写真を撮り、そして悪いことに文庫本をジーパンの後ろのお尻の所に突っ込んでいた。ホテルが見えるところまで来て、5人の小汚いガキが同時に私のジーパンのポケットとジーパンの後ろに突っ込んだ文庫本に手を伸ばしてきた。私は財布、紙幣、小銭はジーパンの前のポケットに入れ、後ろのポケットには何も入れない。ジーパンの前のポケットに物を奥まで入れてしまうと取り出しにくいからだ。しかし、この時の私は、小汚いガキから見ると、両手が塞がって、ジーパンの後ろに金を隠しているカモにしか見えなかったのだろう。私は一瞬にして何が起きたかを悟った。とにかく自分の不注意に腹が立ったのと同時に小汚いガキに、私がユニクロで季節外れのセール品1枚700円を、さらに”お纏め買い”で安く買ったTシャツに小汚い手で触られたことに逆上した。司馬遼太郎風に表現すると、『それだけに、地図をのぞきこんでいる児玉の怒りはすさまじかった。(この連中が人を殺してきたのだ)とおもうと、次の行動が、常軌を逸した。その金色燦然たる参謀懸章をつかむや、力まかせにひきちぎった。「貴官の目は、どこについている」とどなった。つぎの言葉が、長くつたえられた。「国家は貴官を大学校に学ばせた。貴官の栄達のために学ばせたのではない」』 司馬遼太郎(1978) 『坂の上の雲5』文春文庫(司馬先生、本当に御免なさい)。とにかくエライ腹が立って、左手に持っていたペットボトルの入ったビニール袋を振り回したが私の攻撃はいとも簡単にガキどもにかわされた。しかも、振り回した反動で体が一回転してしまうという失態を犯した。マズいっ、一回転して元の位置に戻ったと思った刹那、私は右足で思いっきり一番背の高いガキに横蹴りを食らわした。そして、これが絶妙のタイミングで入ってしまい、背の高いガキは漫画のように物凄い勢いで吹っ飛んていった。これには流石に歴戦の勇者である私も狼狽した。ガキが逆襲してくるとマズい。ガキ達のモンスターペアレントたちが慰謝料だ、とか言ってくると更にマズい。そんでもって、児童虐待とかが加わるとさらにマズい。幸い私は何も盗られていないので、ここは将来のある君達のために穏便に済ませてあげようではないか。そんな訳で、出るところに出ても何ら疾しいところはないのだが、今日のところは早く帰って昼寝もしたいしで、一目散にホテルに駆け込んだ。なんとなく後味の悪い昼下がりであった。

そしてその数日後、、、私は機上の人となったのだが、私の席の後方で赤ちゃんが泣いている。飛び立つ前から、ずーっと泣いている。私の席からは少し離れているのでさほど気にはならないのだが、さすがに周囲の雰囲気がよろしくない。漫画家の”さかもと未明”のような話もあったりする昨今ではあるし、2時間も3時間も泣きっぱなしは、さすがに迷惑だ。私がトイレに行った時も赤ちゃんのお母さんは非常口のところに立って必死に赤ちゃんをあやしていたが一向に泣き止む気配がない。周囲の乗客もなんだか怖い雰囲気だ。しかし、これは赤ちゃんが悪い訳でも、お母さんが悪い訳でも、怒っている乗客が悪い訳でも、航空会社が悪い訳でもないのである。ましてや、若くて綺麗なCAさんが悪い訳でもない。私が赤ちゃんを覗きこんだら一瞬泣き止んだ。お母さんはすまなそうに私に頭を下げた。なんのこれしき。調子に乗った私は、周囲の状況をよそに「いくつですか」とか「男の子ですか、女の子ですか」と聞きながら得意の顔芸で「赤ちゃんは泣くのが仕事だもんねー」とあやした。一瞬、赤ちゃんは泣きやんだように見えたが、3秒後に今まで以上の爆音で泣き出した。しまった。お母さんは、「どうもありがとうございました」と言ってくれるが結局泣き止むどころか、状況を悪化させてしまっただけである。ただ、失敗を引きずらないポジティブな私が自分の席に戻るとCAさんが来て「どうもありがとうございました。おかげで、まわりの雰囲気が変わりました」とお礼を言われた。私は子供が好きなのである。
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