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ソウルのタクシー運転手 [韓国]

もう20年以上前、初めて韓国のソウルに行った時、空港は今の仁川空港はまだなく金浦空港だった。金浦空港の臭いは冷麺の臭いだった。ソウルのタクシー料金は安かったので移動にはタクシーばかり使用していた。初めての韓国はソウルに二泊三日で焼肉が目当てだった。夕食時にホテルでタクシーを捕まえてもらい、ガイドブックに書いてあった焼肉屋に出かけた。タクシーの運転手は日本語が上手で調子の良いオヤヂだった。ホテルを出ると運転手が「この店より美味しい焼肉屋を知ってるよ」と、こちらが聞いてもいないのに勝手に話し出した。私が「高いんだろう」と聞くと「そんなことない。最高級のカルビだけど高くないよ」と運転手が答えた。当時、まだ海外旅行の経験もあまりなく、純粋だった私は、日本語の上手な運転手に気を許していた。どーしよーかなーと迷っていると、運転手が「お金は、いくら持ってますか」と私の心の動きを見透かしたように追い打ちをかけてくる。私が「3万5千ウォンくらい」と正直にに答えると、運転手は「私の知ってる店は、最高級のカルビを出します。値段は3万5千もしないよ」と言うので、「じゃー行ってみようか」と運転手の言う店に行ってみることにした。店に着いたが、なんとなくボロっちい焼肉屋だった。運転手に手招きされて焼肉屋に入ると、運転手と店のおばちゃんが韓国語で何か話している。運転手が「飲み物は何がいい?今、最高級の焼肉のセット頼んだよ」と言うので、私はビールを頼んだ。親切と言うか世話好きなオヤヂだなーと思っていると、ビールとグラスが2個来た。私が「ん?」と思っていると、運転手が二つのグラスにビールを注いで、「カンパーイ」と言いながらビールを飲んでいる。私は「それは、おいらのビールだよな」+「今、勤務中だろ」+「飲酒運転じゃね」の三つの疑問が渦巻いていたが、ビールと一緒に飲み込んだ。その間に焼肉の準備が着々と進み、七輪がセットされた。焼肉のセットが来たが、量が多く、明らかに一人前のそれではない。呆気にとられている間にタクシーの運転手が焼肉を七輪で焼き始め、「いっぱい食べてください」と私に言うではないか。そして、私に「いっぱい食べてください」と言っていた運転手が焼肉をいっぱい食ている。しまいには、「お客さんも遠慮しないでください」とか言ってくる。面白いことを言うじゃないかソウルのタクシー運転手。ひとしきり食べたが、大量の焼肉は喰いきれずに残してしまった。タクシーの運転手は、爪楊枝をくわえ、「美味しかったね」と言って腹を擦っている。確かに美味かったが、おいらがいつおまえに馳走すると言ったんじゃ。店を出る時、店のおばちゃんに焼肉の金額を書いた紙を渡された。その紙には”34,800”と書いてあった。あれっ、おいらの所持金じゃん。気持ちが悪いくらいの偶然だな。いやー、お金が足りてよかった、、、じゃねーし。”やられた”と思ったが、後の祭り。確かに運転手は「3万5千もしないよ」と言ってはいたが。。。しかたなく34,800ウォンを払って店を出た。そこには、嬉しそうに私を手招きするタクシーの運転手の姿があった。
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