SSブログ

どこに行きたいのですか? [台湾]

台湾は良い国だ。ご飯は美味しいし、人々は優しくて親切。街中で立ち止まって日本語のガイドブックを開こうものなら、「どこに行きたいのですか?」と素敵な笑顔と一生懸命の日本語で声をかけてくれる。一度、バスの停留所で複雑怪奇な台北のバス路線図を覗き込んでいたら、お婆さんに台湾語で、「どこに行きたいの?」(恐らく)と聞かれた。おいらはとっさに「ヨンカンチェ(永康街)」と唯一台湾語で発音できる地名を言ってしまった。すると、そのお婆さんはバス路線図とにらめっこして、台湾語で「こりゃー、乗り換えないと行けないねー。よし、私に任しときな!」(多分)と言って、停留所に向かってくるバスを止め、運転手さんに「この子が永康街に行きたいと言っているので、乗り換える停留所で降ろしてやってくれ」(きっと)と台湾語で頼んだ。別にバスに乗りたい訳でも、永康街に行きたい訳でもないのに。。。バスの運転手さんは私を手招きして乗せてくれた。バスは走り出してしまい、私はお婆さんに手を振った。相変わらず自分の置かれている状況が良く分からないままだった。そもそも、バスの料金がいくらかわからず、持っていた硬貨を全部出して困っていたら、一番前の席に座っていたおじさんが必要な分だけ選んでくれて支払いは完了。そして、つり革に捕まって、「おいらはいったいどこに行くんだろう」とバスの中に貼ってある路線図を見ていると、隣にいた女性が綺麗な日本語で「どこに行きたいのですか?」と聞いてくれたので、「永康街に行きたいんですが」と言うと、「どこかで、乗り換えないと行けませんね」と親身に路線図を見てくれている。すると、またまた、流暢な日本語で「どこに行きたいんですか?」と言う声がするので、後ろを振り返ると、おじいさんが私に満面の笑顔を向けている。「永康街に行きたいのです」と私が言うと、おじいさんは「私が降りるところで永康街行きのバスに乗り換えができます。私が乗り換えるバスに乗せてあげます」と頼もしい事を言ってくれた。しばらくして、私はおじいさんと一緒にバスを降りて、後に付いて近くの停留所まで歩いた。バスが来るまで話していたが、おじいさんは戦前の小学校では日本語の授業があったので日本語を勉強したらしい。戦後は日本の会社で働いていたこともあるそうで、とても日本語が上手だった。私が乗り換えるバスが来て、おじいさんはバスを止めた。私を乗せた後、台湾語で運転手さんに「この人を永康街で降ろしてほしい」(かなりの確率で)と頼んでくれている。バスの運転手さんは台湾語で「任せておきなさい」(確信はないが)と言っている。おじいさん、ありがとうと私はおじいさんに手を振ってから頭を下げた。私が座席に座ると後ろの方に座っていた中年の女性から「どこに行きたいのですか?」と英語で聞かれて、「永康街」と答えると、停留所に着いたら教えてあげるから大丈夫だと言ってくれた。私は涙が出そうになっていた。だって、そうだろう。見ず知らずの観光客がいい加減な事を言ったにもかかわらず、周囲の人が私を目的地に送り届けようと一生懸命になってくれているのだ。なんでみんなこんな優しいんだろう。そして、中年の女性が押したブザーの音で我に返った。中年の女性が、永康街は次だよと教えてくれた。私は大きな声で、中年の女性と運転手さんにお礼を言ってバスを降りた。ついに到着した。ちょっと時間はかかったが、ようやく永康街に着いた。遠回りがこんんなに楽しかったことはない。ところで、おいらは永康街に何をしに来たんだっけ?まー、いっか。行くつもりはなかったけど鼎泰豐で小籠包でも食べよう。今日もいい天気だー。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:旅行

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。