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Star [マカオ]

ニューヨークによく行っていた頃、気に入っていたホテルがあった。機会があると時々泊まっていた。しかし、とてつもなく高いホテルなので”いつも”という訳にはいかなかった。そのホテルには親切な年配の中国系の女性がいた。ホテルでのニックネームは”Star”。Starは、私の顔を覚えていてくれて、なにくれとなく気を配ってくれた。美味しい日本食はここで食べられるとか、中華料理だったらここの餃子が安くて美味しいとか、タクシーは呼んだのか、地下鉄とバスならここで乗り換えればいい、何か帰る途中で困ったらここに電話しなさいとニューヨークの地下鉄路線図”The Map”に自分の直通電話の番号を書いて渡してくれたりと、とても親切にしてくれた(まー、確かに高いお金を払ってクラブスィートに一人で泊まってたからなー)。月日は流れ、、、3年前にマカオに行った。ホテルは奮発してちょっと高いホテルにした。二泊三日だし、多少贅沢してもいいだろうと思って決めた。それと、世界中にあるそのホテルがマカオでのグランドオープン前だったためプロモーションでとても安く泊まれることも理由だった。チェックインして最上階のラウンジに行ってお茶を飲んでいると、日本人の男性スタッフが挨拶に来てくれた。吉田さんという方で、いかにもホテルマンという感じの人だった。元は別系列の日本のホテルで働いていたのだが、海外で、しかもホテルのオープニングから働きたいという希望があって、このホテルに転職したそうである。不便が無いようにといろいろと取り計らってくれた。「私はこれで失礼させていただきますが、もう一人、日本人スタッフがおりますので後でご挨拶に伺わせます」と言って私のテーブルを離れた。しばらくすると、日本人の女性が私のところに挨拶に来てくれた。その方は山田さんと言う方で、吉田さん同様、オープニングスタッフとして働けるなら、ということで転職して来たらしい。ホテル業界ではオープニングという言葉が”やりがい”とか”キャリアアップ”と同義語らしい。山田さんと話をしていると、転職前はニューヨークのホテルで働いていたと教えてくれた。場所はバッテリーパークの公園の近くのホテルだと言う。バッテリーパークの公園の近くにあるそれなりのホテルだと2つくらいしかない。私が時々泊まったお気に入りホテルの名を出すと、そのホテルだと言う。私に親切にしてくれた中国系のStarの話をすると、「えーっ、私はStarのことを良く知っていますよ。でも、Starは中国系ではなくフィリピン人なんですよ」と教えてくれた。私は急に懐かしさが込み上げてくるのと同時に、その奇遇さに驚いた。彼女も驚いて、「Starはお客様はもとより、スタッフにもとても親切でした」と言っていた。なんだか、とても不思議な気がしたものだ。まったく違う状況の中、しかも異国の地で、同じ人とホテルを介して同じ時間と空間を共有していた可能性があるなんて。。。これも、旅の面白さだ。旅の目的は若くて綺麗な女性だけではないのである。
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