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車優先 [中国]

2003年、初めて中国に行った。正確には”香港とマカオ”を除く中国。場所は、上海。会社の同僚やその家族と連れだって行った。手配は同僚の女性が全部やってくれたので楽ちんだった。当時、中国は観光と言えどもビサが必要だった。その頃、中国、特に都市部は猛烈に近代化していた時期だ。上海の浦東国際空港は物凄く近代的で、リニアモーターカーはまだ営業はしていなかったが、確か試験運転をしていたと記憶している。空港からタクシーに乗ったが、物凄いスピードで上海まで走った。市街地に入ってもスピードを落とさず、人が横切ろうものならスピードを上げ、意図的に轢き殺そうとしているとしか思えない運転だった。助手席に座った私は度肝を抜かれっぱなしである。なんでも、中国では、日本の”道路交通法”にあたるものが無く、中国人の常識、宗教観、心情、および過去の慣例として車優先になっているらしかった。車に轢かれたら轢かれた方が悪いということのようであった。「だから、道路を渡る時は気をつけないとダメ」と言われた。なんという国に来てしまったのだ。それって、文明が無いってことじゃないのか?っと軽く慌てたが、タクシーは事故を起こさず無事(?)にホテルに到着した。ホテルにチェックインすると、すぐに街中に繰り出すことになり、ホテルでタクシーを捕まえてもらって街中に出かけた。今度のタクシーは、さきほどの空港からのタクシーの比ではない粗っぽい運転。人通りの多い市街地だが物凄いスピード、しかもカーブではタイヤを鳴らしながら走っている。運悪く、助手席に座ってしまった私は冷静を装ってはいたもののビビりまくりである。目的地に到着し、ようやく恐怖から解放された。タクシーを降りて歩行者になると、今度は一転して轢かれる恐怖に襲われる。なかなか、道路が渡れない。歩行者がいても車がどんどん交差点に突っ込んでくる。信号があっても気が抜けない。しかしローカルの中国人はいとも簡単に猛ダッシュで渡っている。オリンピックやアジア大会で金メダルの獲得数が圧倒的に日本より多い秘密は、このあたりにあるのだろう。そして、今度は晩飯を食べに行くので、またタクシーに乗ったのだが、今までのタクシーよりもさらにスピードを出すタクシーだった。助手席に座った私は「やめてくれー」と言ったが、日本語なので運転手には通じない。レストランに着いてタクシーを降りると、足を踏ん張っていたせいか、腿が軽く筋肉痛になっていた。そして、ふと気が付いたのだが、いつも助手席に座っているのはおいらだ。同行のみんなに「帰りは誰か助手席に乗ってね」と言うと、彼ら、彼女らは声には出さなかったが、「あっ、気が付いちゃったのね」という残念な雰囲気を体全体から醸し出していた。何だ何だ、こいつらみんな確信犯だったのか。悔しいなー。結局、上海でタクシーに乗った時は常に私が助手席に座るはめになった。一度確立してしまったヒエラルキーは簡単には変えられないのである。

その後、中国で日本の道路交通法にあたる法律が”新しく”出来て、歩行者優先が”初めて”明記されたと聞いた。
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aloha

弟が、もう何年も仕事で中国に住んでいます。
今もほとんど『車優先』は変わらないみたいですよ。
上海から車で2時間くらいかかる田舎なのですが、
田舎ほど古い習慣から抜けられないので、そのせいかも知れません。
by aloha (2014-05-26 17:40) 

tamannugara

コメントと貴重な情報ありがとうございます。一度身に着いた習慣は簡単には抜けられませんよね。日本も最初は中国と同じだったのかもしれません。中国も中国人も好きなのですが、、、
by tamannugara (2014-05-26 21:02) 

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