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ぼたんえび [日本]

仕事で札幌に行くまでは北海道に来たことがなかった。仕事とは言え、せっかく札幌に来たのだからススキノに・・・と言うことで、同僚とススキノの繁華街に繰り出そうということになったのだが、飲めない私は遠慮した。強引に連行されそうになったが、「明日、仕事しねーぞ」と脅すと彼らは諦め、私ひとり残してススキノに向かった。私は、「しめしめ、今晩は一人で思う存分寿司が食べられる」とほくそ笑んだ。そして、見つけた寿司屋に入った。何も考えずに寿司屋に入ったが、意外と高そうな店だった。カウンターに座ると、すぐに「お飲み物は何にいたしましょう」と聞かれた。「お茶をください」、、、と言いかけたが、意外と敷居の高そうな店の雰囲気に呑まれたのか、「日本酒をお願いします」と言ってしまった。「日本酒は、何にいたしましょうか」と、これまた私には難しい質問が続いた。お勧めの酒を聞くと「国士無双」という酒が美味しいと言うので、お店の勧告に従った。ううっ、何のために同僚をまいてまで単独行動で寿司屋に入ったのだ。純粋に寿司を喰うためではないか。これでは、寿司屋の思惑通り、大枚をはたいてしまうことになる。その上、過去の経験から、酔って味がわからなくなった揚句、眠くなって食事どころではなくなってしまうではないか。こんなことでは、いかんと自分を叱咤した。しかし、寿司屋の大将は日本酒を発注した流れの中で、「何か(酒の肴を)お作りしましょうか?」と追い打ちをかけてきた。そこで、「寿司を握ってください」と言いきってしまうのも無粋である。仕方なく、「おまかせで」と言ってみた。大将は、一瞬「ニヤっ」と笑ったように思えた。きっと、”こんな一見さんのトウシロの青二才にゃー、適当なもの出して、最後にふっかけてやればいいや”と思ったに違いない。ヤバイ、それほどたくさんの現金を持ち合わせていなかった。いつものジレンマにハマった。いつの間にか、北の辛口「国士無双」とエビの刺身が出てきた。「ボタンエビです」と大将は言った。初めて見たボタンエビは、どう見ても巨大甘エビだった。大将は、困惑する私の頭の中を見透かしたかのように、「内地の人は大きな甘エビって言いますが、全然違います。今が旬なので食べてください」と言った。確かに、食べてみると、ねっとりとした甘さは甘エビのそれに近いが、身の弾力や食べ応えが全然違う。辛口の日本酒と飲むと、より一層甘さが際立つ、、、って、酒飲んでるじゃん。食べ終わった後、「美味しい」と唸ると、大将が「美味しいでしょう」。そして、「辛口の酒と一緒に食べると、より一層甘いですよ」と、またまた私の頭の中を見透かすように言うではないか。さらに、「個人的には酒と一緒に食べて欲しくは無いんですけどね」と言うので、何故なのか聞いてみると、「私が飲めないから」と言って笑っていた。急に親近感が湧いてきた。こんなことなら、最初から日本酒など頼まなくても良かったなー。私が本当は酒が飲めないことを話すと、「酒が強くなさのうなのは、なんとなくわかりました」と、また笑っていた。なんだか、全部読まれている。あまりにボタンエビが美味かったので、もう少しボタンエビの刺身をもらおうかと思ったが、ここはやはり、ボタンエビの寿司を握ってもらうことにした。大将は、私がボタンエビの握りを頼むより早く、「お酒は無理して飲まなくてもいいですよ。お代は結構ですから。それより、何か握りましょう」と言って、まだグラスに1/3以上残っている日本酒を下げてくれた。この大将只者ではない。客の心を完璧に読むのだ、と思っていると、出てきたのは甘エビの握り。あれっ。。。大将曰く、「すみません、ボタンエビが終わっちゃって」だって。うーん、ここまで百点満点の寿司屋だったのに。。。しかし、良く見ると身代わりにされた甘エビの握りには、甘エビが4本ビッシリと乗っていた。せめて、ボタンエビに見えるようにとの大将の心遣いなのかもしれないが、やや微妙。しかし、甘エビの握りは美味かった。甘く、そして、切ない味がした。
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スカイタイム [日本]

先日、大阪まで行く用事があったので、新幹線で行くか、飛行機で行くか迷った末に、結局、飛行機を選んだ。都内から大阪の中之島までなので新幹線の方が楽そうだったのだが、そこは飛行機好きとしては譲れない。地下鉄と都営浅草線エアポート快特を乗り継いで羽田空港の国内線ターミナルへ。それほど時間もかからないし便利だ。羽田空港は国際線ターミナルよりも国内線ターミナルの方が賑やかで華やかだ。無事にチェックインを済ませ搭乗と相成った。ほぼ定刻に出発、素晴らしいではないか。離陸して、シートベルト着用のサインが消えたので、羽田空港で買った空弁を取り出して食べようとした。ちょうどその時、タイミング良くCAさんが飲み物を配っていたのでお茶を頂いた。機内食でも、お弁当でも、おにぎりでもいいが、機内から青空を見ながら食べる食事は美味しい。私は20%増しの美味しさを堪能していると、さっきお茶を配ってくれたCAさんが、スープを持ってきてくれた。しかも、「お味噌汁があればよかったのですが、なくてすみません」と謝られてしまった。いえいえ、こちらこそすみませんだ。勝手にお弁当を開いて食べていたのを見て、スープを出してくれるなんて泣かせるね。乗客がそれほど多くなかったためか、スープを出してくれたCAさんも比較的暇だったようで、キウイ風味のスカイタイムの話で盛り上がった。今は、ゆず味を経てシークワーサー味のスカイタイムを飲むことができる。しかし、私はゆず味、シークワーサー味のスカイタイムを飲まないことにしている。一昨年、キウイ風味のスカイタイムが期間限定で復活した時も飲まなかった。それは、昔飲んだスカイタイムに敬意を表しているから。さらに、スカイタイムを開発した人達に敬意を払っているから、、、とずいぶん頑固なことを言って、結局、復刻版キウイ風味のスカイタイムを飲む機会を逸してしまった。今度はいつ復刻版を出すんだろうか。なるべく早く出して欲しい。
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穴水の牡蛎 [日本]

国内を旅するより、海外を旅行する方が圧倒的に多い。国内で旅に出るのは年1~2回程度。毎年2月の最終週か、3月の第1周に必ず石川県の穴水まで行く。『かき浜』という民宿に焼き牡蛎を食べに行くのが恒例になっている。しかし、行くのはいいのだが、これが遠い。車で行くと首都高~関越自動車道~上信越自動車道~北陸自動車道を降り、バイパスを経由し、のと里山海道の穴水ICまで、ざっと8時間。距離にして約600Kmだ。これを毎年1回日帰り、しかも昼飯に焼き牡蛎を喰いに行く。午後1時頃のかき浜到着を目指して、朝の4時に都内を出発する。羽田から能登空港まで飛行機で行くこともできるのだが、朝早い便と夕方の便しかないので、飛行機の場合は泊まりで行くことにしている。このかき浜は、民宿の前まで穴水湾の入り江が来ていて牡蛎の養殖場になっている。そこで獲れる牡蛎を焼き牡蛎として食べさせてくれるのだ。一度連れて行った女の子は、もやにけむる入り江を見て「スケールの小さなブルターニュのカンカルみたい」と言っていた。残念ながら、私はブルターニュもカンカルも知らなかった。

牡蛎が食べられるのは11月初旬頃から4月下旬頃まで。11月の牡蛎は小さいが、4月になると巨大になる。穴水の牡蛎は2月末から3月初旬の牡蛎が一番美味い。小さすぎず・大きすぎず、プッくりして、みずみずしい。かき浜が潔いのは牡蛎の時期の食事のメニューが「かきフルコース」しかないこと。かきフルコースは、焼き牡蛎、牡蛎フライ、牡蛎飯にもずく酢、たくあん、みそ汁が付いて3,800円。以前は3,500円だった。。。焼き牡蛎用の牡蛎は殻付きのまま大きなボウルに目いっぱい入って出てくる(以前は大きなバケツに入っていたのだが。。。)。その牡蛎を自分で目の前の炭火の上で焼いて勝手に喰うのだ。焼けた牡蛎をほおばると口いっぱいに潮の香りが広がり、奥深いコクと旨味が押し寄せてくる。繊細で奥深い味わいは何物にも代えがたい。また、カキフライは牡蛎を2、3個くっ付けて揚げているため、しっかりと”牡蛎を喰った感”があって満足度が高い。満足度が高いのはいいのだが、車で行く場合、ETC割引を利用した高速料金とガソリン代で往復約4万円。飛行機で行くと電車、タクシー代などを含めて往復で約3万円。一度など、車で行った時、北陸自動車道を走っていてスピード違反で捕まった。罰金は8万円!そして免停の講習が約2万円!3,800円の牡蛎を食べるために14万円をかけて行ったのを壮挙と言わずして何と言う。
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